2019年02月14日

燕になりたい・・の謎(中国音楽)

先月末から2月初めにかけ、ある依頼により、中国音楽「燕になりたい (我願做一只小燕)」という曲の『二胡と古筝(中国式琴)二重奏』用編曲を行いました。

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曲そのものは以前から馴染みがあった事もあって作業自体は一週間ほどで終了し、引き渡しまで特に問題もなく順調でしたが、実はこの曲・・以前から気になっていた点があります。

二胡奏者、陳敏(チェン・ミン)さんの演奏で一躍有名になった「燕になりたい」ですが、作曲者は不詳とされ、様々な楽譜を確認しても作者の項は常に不明になっています。中には中国の古典音楽や民謡としている楽譜やCD、ネット記事も見受けられるようです。そんなこともあり、実は私自身も長いこと作者不明の中国古典民謡だと思い込んでいました。しかし編曲が終わって改めてこの曲のことを調べていると、どうやら作曲者がいて、しかもそれは同時代の人物らしい・・ということが分かってきました。

陳敏さんのブログによると、この作曲者は「梁和平」氏とされ、中国サイトの《百度百科》で調べると、古典の人物などではなく現代の、しかも中国ポップミュージック界で活躍する有名なプロデューサーであるらしい・・

この話が正しいのであれば、「燕になりたい」は"中国のポップス音楽"であったということになるでしょう。そういえば多くの録音や動画などで確認できるのはピアノやギターなど西洋楽器とのアンサンブルが多く、今回私が行ったアレンジのような古典楽器同士で伝統曲のように演奏されるものは殆ど見受けられません(二胡と楊琴くらいか?)。ということは最初から現代のポップス曲として創られたものだったのか?。

ちなみに、楽曲権利を調べる際に私がいつも利用している《J-WID》の作品データベース検索を確認すると、3件の該当結果すべて作曲者は不明(もしくはANON="匿名")の上、出版社契約も無く、他の項も日本人が手がけている作詞以外はJASRACの管轄外になっており、権利者がどこの誰にあるのかすら不明。 PD印(パブリックドメイン)が記されていないということは著作権落ちの古典曲などではなく、今時代の何者かが権利を有している(可能性がある)ということなのでしょう。あまりにも謎が多すぎる・・

これはあくまで私の勝手な想像ですが、この梁和平さんという人は1970〜80年代に頭角を現し、中国ポピュラー音楽の発展に貢献された方だそうです。だとすれば時代背景的に、資本主義文化の導入を強く否定していたという悪名高い"文化大革命"に巻き込まれそうになった、中国の政治的な理由により名を隠す必要があった・・という可能性も大いに考えられます(実際この時期に投獄されたり亡命を余儀なくされた中国人音楽家は多い)。真実は分かりませんし想像するしかありませんが、いずれにせよ一部の情報を除き、この「燕になりたい」は作者不詳としておいた方が良いのかもしれませんね。

いろいろな意味で謎ゆえにロマンティックでもある「燕になりたい」。もし権利落ちの古典曲であったならば編曲譜の公開販売を実施する予定でしたが、どうやら色々と訳有りの音楽のようなので一旦取り止めにしました。後日改めてブログ記事にて楽譜の詳細を再掲載する予定です。

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posted by アッキー at 12:40| 北海道 ☔| Comment(0) | 音楽・楽譜・書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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