2012年12月15日

イタリア協奏曲BWV971 管弦楽版

今日の音楽紹介はBachの "イタリア協奏曲BWV971" 管弦楽版(全曲) です。

ピアノを弾く方はご存知であると思いますが、原曲である"イタリア協奏曲"は2段鍵盤チェンバロのための3楽章形式による独奏曲であり、フォルテとピアノの対比表現により協奏曲的な効果を表した音楽です。バッハの曲としては珍しく(?)明るく明朗な響きを持ち、一種のポピュラリズムを感じさせるものでもあると思います。

この度の管弦楽版は元々ジュニア・オーケストラ(中・高校生混合)のリハーサル用として第1楽章のみ依頼されたものでしたが、1楽章のみでは何とも半端な感じでしたので全楽章版として後に追加編曲したものです。また編曲委嘱者からの条件として "オーケストラ内における絃楽セクションの基本演奏技術の向上" という目的があったこともあり、絃楽セクションの分奏(div.他)や、arco〜pizz.への奏法切り替えなどのテクニックが多用された構成となっていることも特徴といえます。協奏曲という名が付けられていることもあり、特定の楽器がソロとして活躍する楽章も含まれています。

以下に編成数と楽章ごとの簡易説明を記します。

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標準1管編成で、絃群は8型の小規模な編成となっています。


第1楽章(Moderato)


原曲にはテンポ記号が書かれていませんが、ここでは私の独断でModeratoと表記しています。市販のピアノ譜などではAllegro表記が多いようです(私の使用したヘンレ版には何も書かれていませんでした)。上にも書きましたが、絃楽セクションは様々な分奏が行われ、div.を始め、奏者が2名のみに分離する"due soli" セクションが半分になる"La meta" arcoからpizz.への細かい奏法変化と絃セクションはなかなか忙しいです。但し、学生の技術向上が目的でもあることから熟練者にとっては特別難しいものではなく技術的困難な部分は全くありません。管楽器群に関してはごく一般的な演奏で特に説明することはありませんが、高音木管(Fl.Ob.Cl.)は、やや細かい装飾的音型が含まれることも多いので注意して下さい。

第2楽章Andante

(※サンプルが再生できない場合は 前回の記事 を参照願います。また音量レベルが小さいため、ボリュームを上げるかヘッドフォンにてお聞き下さい)

この楽章では主要旋律を高音木管群であるフルート、オーボエ、クラリネット全員がソロをとる構成となっているのでしっかり歌わせて演奏しなければなりません。金管、絃群は木管のメロディーを消してしまわないよう音量に注意を要します。またこの楽章のみトランペットは演奏に参加しませんが、最終楽章で活躍しますので十分な休憩を摂っておいて下さい。

第3楽章Presto


最終楽章ではトランペットがソロ楽器として扱われ、トランペット協奏曲のような展開で進行します。よってトランペット奏者はオーケストラの前に出て立奏するのも良いかもしれません。この編曲ではC管を想定して書いてありますが、もし奏法的に許せばEs-D管などの高音トランペットを使用してバロックらしさを出すのも手かと思います(ピッコロではやや音域が低いと思われます)。全体的に快活で切れの良い演奏が求められ、テンポも速いので弾き遅れないことが重要です。第1楽章同様に絃楽セクションは分奏が多用されるので特に注意して下さい。低音楽器であるチェロとファゴットは重要声部に当てられ、細かなフレーズが連続し曲中の休止部がほとんどないパートですので、それ相当のスタミナが必要となります。

全楽章、全パートに言えますが、楽譜上には必要以上のスラーが書かれていません。これは1音1音はっきりと発音してポリフォニーを明確にさせるための配慮ですが、状況によってはレガートが必要な場面もあるでしょう。その場合は奏者の判断で的確に演奏して頂ければと思います。但し、レガートの多用によってフレーズが流れすぎないように注意して下さい。


この管弦楽版では原曲に存在しない和音伴奏や声部の補充が多用されていることから、やや印象の異なる音楽に感じられるかもしれません。念のために原曲の演奏動画も乗せておきますので聞き比べるのも良いかと思います。








楽譜は現在出版準備中ですが、販売開始は恐らく来年以降になると思われますのでもうしばらくお待ち下さい。販売が開始されましたらこのホームページでお知らせしますのでよろしくお願い致します。

※楽譜は現在販売中です http://music-bells.com/?pid=70371414

posted by アッキー at 21:32| 北海道 ☔| 管弦楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする