2019年12月30日

2019総括(年納め)

早いもので今年も年の瀬。町中も年末年始休暇の人々が増えて賑やかになってきました。

個人的に2019年という年は本当に早かったですね。前回の記事にも書きましたが、私の制作実績というのは年度末に決定される企画案を次の年にどの程度実践出来たのか(※依頼等の業務は別扱い)に依ります。そして今年の出来はほぼ7割方という、此処10年ほどで比較しても質・量的にかなり上々の結果となり(通常5割こなせれば良い部類に入る)、あまり意識していなかった分、意外な結果に自分でもちょっと驚いておりますが、前年の2018年が調子悪かっただけに何とか盛り返した感もあってひとまず安心したところでしょうか。ただこの「副作用」が来年度に影響しないか怖い部分もあります。

2020年度は、今まで20年ほど定期的に行ってきた「編曲」からはちょっと離れ(※私にとっての編曲とは新しい表現解釈という意味合いも強いが、自身のオーケストレーション技術を実験・維持するための"実践演習"という側面も大きい)、9割方をオリジナルの作成に費やす少々難儀な年になりそうです。又、これまで完成した作品の公開や配布が滞りがちになっているという問題もあり、今後これらをどういう方法で拡散させていくのかという重要な課題も考えなけれならないでしょう。

とにかくこの世界は「考えた..」だの「頑張った..」などと幾ら言葉で自己肯定したところで、それらを他者に伝え、審判された上で評価を受けなければ誰にも相手にされないのが現実。今の時代、クリエイターも技術のみならず経営戦略的なセンスがなければ生き残ることが困難な時代なのかもしれません。そういった意味で様々な事が少しづつでも進展する(きっかけになる)年になれば良いかなと思っています。

オーダーメイド楽譜作成・譜面制作・採譜サービスの
《KAP音楽工房》

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《KAP音楽工房》では年中無休で楽譜作成代行・編曲・採譜等の依頼を受付けております。ご要望がありましたら気楽にお申し付け下さい。2020年も変わらぬご厚誼を賜りますよう、よろしくお願い致します。

今年最後になりますが、みなさま良い年末年始をお過ごし下さい。
posted by アッキー at 02:17| 北海道 ☔| Comment(0) | 日記&雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月22日

毎年恒例?

この時期になると恒例の行事に、次年度の「制作企画の選定とその資料準備」という(ちょっと面倒な)作業があります。

私は基本的に「思いつきのノリや勢い」でいきなり音楽を作り始めることは殆どなく、イメージであったりインスピレーションが湧いた時には、まずその思考や方法論を具体的な形で文章化(プロット化)した企画書を作成しアイディアの方向性を極力明確化させる所から始めます。いわゆるアーティスティックな考え方とは真逆なタイプですが、制作におけるムラが少なく、毎年コンスタントにそれなりの数を持って何らかの作品が完成していくというのが利点です。この年末作業は、その都度書いてきた企画案が本当に有用なものであるのか、それとも単なる上っ面の気まぐれであったのか・・等を厳しく自己批判しながら吟味し、次年度の目標を明確に設定するという重要な時期でもあるのです。

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決定した企画はすぐにも作業開始できるように楽曲編成別のスコアテンプレート(※大まかなレイアウト、記譜記号等の情報やサンプル音が埋め込まれた五線データ、これが以外に手間が掛かる)があらかじめ作成され、資料も含めてファイル化されます。PC内にも略同じ内容の電子ファイルが用意されますが、最悪時のバックアップという意味でも印刷されたデータは重要な存在ですね。

それにしても、やっている事は会社員(この場合は企画課?)の其れとあまり変わらないような気も・・

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現在の進行状況は8割方といったところ。内容によっては新規で資料等の作成が必要になることもありますが、クリスマス前後くらいを目処に慎重に来年度の目標を定めて行きたいと考えています。

手っ取り早く勢いで音楽を創り他人に評価されたい(=ポップスでは必須かも?)というアーティストタイプな人には不適な方法論でありますが、こういうやり方もあるということを知ってもらえれば幸いです。
posted by アッキー at 00:59| 北海道 ☔| Comment(0) | 日記&雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月15日

バッハ弓(演奏道具)

★J.S.Bach「シャコンヌ」from BWV1004/Curved Bow


有名なバッハのヴァイオリン独奏のための「シャコンヌ」・・ですが、この曲に馴染みのある人であればちょっと妙な演奏に聞こえるかもしれません。

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(※画像Wikipediaより)

上記の録音は「バッハ弓(Bachbow/Curvedbow)」と言われる特殊な"湾曲弓"を用いて演奏されたもの(※作られた経緯に関しては上記リンクを参照)。通常の弓で重音を出す場合、同時に鳴らせる音は二重音までで、三、四重音が必要な時にはアルペジオ的に和音を崩して弾かなければ不可能、しかしこのバッハ弓では画像のように4絃を直接跨ぐことができるため同時に四重音(又は三重音)を演奏することが可能です。従い、録音の演奏はバッハが書いた 楽曲構造を楽器の物理的制約を受けることなく忠実に再現している ことになります。

私がこの弓の存在を知ったのは20代半ばの頃で、当時読んだ専門書の注釈欄に(やや批判的に)申し訳程度で書かれていたのを見たのが最初。その小さな注釈が妙に気になり色々と調べ始めたのは良いものの、まだインターネットなど一般的ではなく、CDを探すも全く見つからず、資料等も手に入らないまま今に至り、もう忘れかけていたところ最近になってyoutubeの《あなたへのおすすめ》で突如現れたのが上記の動画。20年ほど経ってやっと音の確認をすることができました。

さて、このバッハ弓の演奏を実際に聞いた感想として、悪くはないがやはりちょっと妙です。「シャコンヌ」という音楽の スコア上 の構造は確かに表現されている、和音の音程も正確で演奏技術的には申し分ない・・ しかし、動的なリズム感や立体感に欠けた淡白で冷たい響きに聞こえるのです(※これは管楽器における循環呼吸によってブレスを用いない時の演奏に似ている)。もちろん今日の一般的なヴァイオリンの演奏慣習に慣れてしまっているという事もあるでしょうが、この弓が時代考証上誤った解釈から誕生し、結果的に古楽の世界から淘汰されてしまったという理由は分かるような気がします。

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だが、逆に考えるとバッハ弓の"新しい可能性"というものも見えてくるように感じます。20世紀初頭に誕生した「モダンチェンバロ」という楽器が同様の運命を辿り古楽界からは追放されたものの、現代音楽との相性は良かったように、古い慣習を超えた新しい表現として用いるのならそのポテンシャルは非常に高く、現代曲は元より、アイディア次第ではポピュラー音楽での活躍も十分可能でしょう。私が今後弦楽器のための楽曲を書く機会があればバッハ弓を想定したものとする可能性は大いにあり得ますね。

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オーセンティックな表現が重視される(ちょっと頭の固い...)クラシック界では邪道とされるバッハ弓ですが、現在僅かながら普及活動をしている演奏家もおられるようです。

そもそもひとつの時代様式(この場合は古楽)にはうまく適合しないからといって(権威的な)上から目線で存在そのものを全否定するような態度は傲慢そのものであろうし、未来の表現の可能性を制約してしまうことにもなり兼ねません。これまでの常識・慣習から外れた新しい物や突飛な考え方が登場する時に批判されるのは世の常ですが、思い込みの否定やアンチ思考から入るのではなく、慎重に考察した上で 肯定から入る方が明るく新鮮な先が開けて来るのではないでしょうか?。

バッハ弓による無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(全曲) - ゲーラー(ルドルフ)
バッハ弓による無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(全曲) - ゲーラー(ルドルフ)
posted by アッキー at 14:16| 北海道 ☔| Comment(0) | 楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする