YAMAHA「Classic Guitar String NS110」¥600程度
ヤマハから販売されているクラシックギター用ナイロン絃には、高品質の「Grand Concert Strings」と、今日レビューする「Classic Guitar Strings」の2種類あり、こちらはクラシックギターのみならず、エレアコやギタレレ、サイレントギター等の様々な楽器に適合することから愛好者の多いナイロン絃としても有名です。私の記憶違いでなければ30年ほど前からパッケージが変わっていませんね。実はこの絃、その30年ほど前(高校生の頃)始めて購入した時にあまり良い印象を持てず、現在まで購入はおろか興味の対象とすらしていなかった製品ですが、サブギター用の安絃を探していたところ目に留まり価格に吊られて(購入時¥594)購入。もう一度確認の意味も込めて使ってみることにしました。
昔は絃ごとに紙袋に入ってたような気がしますが、現在はナイロン袋に包まれ密封状態になっています。色々な意味で大らかだった当時とは異なり、シビアな時代に合わせた品質管理が行き届いているようです。
6-5-4絃の巻き線にはブリッジ固定用の通し穴が付いています。この通し穴は一見便利そうに見えますが、通し紐が突然切れたり、張力によって固定位置がずれてチューニングが安定しなかったりとあまり良い点がないので、私の場合はこの部分を切り落としブリッジに直接巻き付けるようにしています。正直通し穴の使用はあまりオススメ出来ません。
まず、この絃はテンション表記がされていないため(NS110とは"ノーマルストリングス"の意味なのだろうか?)ノーマルなのかハードなのかが不明。感覚としてはやや硬めのノーマルテンションといった感じで、そのためか時間が経過しても絃はダレることがなく割としっかりとした張りが保たれ、半音下げ等のダウンチューニングにしても然程違和感がない響きです。ちなみに絃が安定するまで2日程度かかります。
今までこの絃を敬遠していた理由でもある「音詰まり感」「短いサスティーン」に関しては略すべて解消されており、特に醜かった3絃の音詰まり感に関しては専用絃と同等の鳴りを持つようになっています。余談ですが、ヤマハ製のアコースティックギターにはブリッジサドルの3絃(フォークでは2絃)を乗せる部分に小さな溝が切られており、実質絃長をサドル側で微調整することによってこの音詰まりとピッチを補正する対策が成されていますが、一般的な溝のないサドルでもまったく響きに問題はありませんでした。
肝心の音色に関しては楽器にもよりますがあまり個性のない淡白な響き。今回は同じヤマハ製のギター(CG-130A)に用いた結果、楽器との相性は比較的良いものの、専用絃のような色彩感やパワー感というものには乏しい印象です。逆に言えば全音域で安定し、変にクセのない音とも言えるかもしれません。モジュレーション系や残響系のエフェクターを使うことも多いエレアコ等には向いているようにも感じます。
◉【総合評価として】
五段階評価=★★★☆☆
音色は凡庸だが、音の伸び、押さえやすさ、ピッチは上々で練習用としては最適。といったところでしょうか。知らないうちに色々と改良が施されていたようでちょっと見直しました。価格も安いことですし、しばらくはサブギター用にこの絃を使いたいと思っています。
アマゾンのレビューでは "チューニングがすぐ狂う悪い製品" という評価が散見されますが、正しい方法で絃を張れば不良絃でもない限りどのメーカの製品であったとしても演奏に支障をきたすような狂い方はしません。そもそもナイロン絃はスティール絃と異なり、張ってから1〜2日程度はチューニングも響きも安定せず、その後も少しづつ絃が伸び続けるのが特性であって、数曲弾いたら調絃をし直すのが当たり前の儀式のようなものです。もしチューニングが全く変化しなくなったとすればそれは絃が完全に死んだという合図なので交換したほうが良いでしょう。絃の張り方に不安を持っている方がいれば こちら の記事に正しい絃交換の方法が書いてありますので参考にしてみて下さい。
ついでに・・
Jim Dunlop (ジム ダンロップ) 6502
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絃交換のお供としてこちらもオススメ。指板洗浄剤とコーティング剤のセットです。汚れた指板がピカピカになりますのでぜひお試し下さい。

ヤマハ YAMAHA クラシックギター用セット弦 NS110 Set

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